犬のワクチンは必ず接種する必要があるの?【ワクチンの種類や必要性について】

      2018/03/25

犬のワクチン

犬を連れて動物病院へ行った時、ワクチン接種をするかどうか聞かれたことはありませんか?

病気を予防するために行うワクチン接種ですが、法律で義務化されているものと任意のものがあります。

ワクチンの種類にはどんなものがあるのか、どう違うのかなど、あやふやな知識のままでいる方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、ワクチン接種について詳しく解説していきます。犬にワクチン接種をすべきか否か、悩んでいる方はぜひ読んでみてください。


犬のワクチンとは

痙攣の症状

ワクチン接種の目的は、犬にとって致死率が高く、伝染力の強い病気を予防することにあります。

ワクチンは病原性を弱めた、あるいは無くした病原体を体に入れることで、感染症に対する免疫をつける仕組みです。私たちがインフルエンザの予防接種を受けるのと同様に、犬にも予防接種があると認識しておきましょう!

生まれたばかりの子犬は、母犬の初乳に含まれる抗体によって感染症から守られていますので、この抗体がなくなってきた時期にワクチン接種を行うのが一般的です。

ワクチンの種類について

犬のワクチン 種類

ワクチンといっても種類はさまざまあります。どんなワクチンがあるのかを詳しく見ていきましょう。

狂犬病ワクチン

狂犬病という病気がどんなものかご存知でしょうか?狂犬病ウィルスはすべての哺乳類に感染し、神経症状などを起こしたのち、ほぼ100%死に至るとても恐ろしい病気です。

世界では年間5万件以上の死亡者が報告されているほど怖い病気です。

日本では人は昭和31年、動物では昭和32年以降狂犬病の発生はありません。

「日本では長い間発生していないから、打たなくてもいいのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、平成18年にフィリピンで犬に噛まれた方が、帰国後狂犬病を発症して亡くなられています。

世界各国を行き来できる今では、いつ日本に狂犬病ウィルスが持ち込まれてもおかしくない状況にあるわけです。

狂犬病を防ぐためには、ワクチン接種が欠かせません。そのため狂犬病ワクチンは、狂犬病予防法によって年に1回の接種が義務付けられています。

狂犬病ワクチンの料金は1回につき3000円ほどかかります。

混合ワクチン

狂犬病ワクチンは法律で義務づけされたものですが、それ以外のワクチンは飼い主さんの任意です。

任意のワクチンは、複数のワクチンを混ぜた混合ワクチンが一般的です。混合ワクチンには5~11種まであり、数が多いほど予防できる病気も増えます。

住んでいる地域やライフスタイル、犬の体調などによって、予防すべき病気が変わってきますので、どのワクチンを選ぶかは獣医さんと相談しながら決めましょう。

主な混合ワクチンの種類は以下の通りです。

2種混合

  • 犬ジステンバー

死亡率の高い感染症です。発熱、目やに、鼻汁、食欲減退、下痢や咳といった症状がみられます。免疫や体力がない子犬は特に注意が必要になります。

  • 犬パルボウィルス

発熱、激しい嘔吐、出血性の下痢を起こし、重度の脱水に陥ります。感染率の高いウィルスでもあるので、多頭飼育をしている場所は感染が拡大する恐れがあります。

5種混合

  • 犬ジステンバー
  • 犬パルボウィルス
  • 犬アデノウィルス1型、2型

アデノウィルスには1型と2型があり、それぞれ犬伝染性肝炎犬伝染性咽頭気管炎を引き起こす原因になります。

症状が回復した後も長期間ウィルスを排泄するため、感染を防ぐための対策が重要です。

  • パラインフルエンザ

発熱や咳、鼻水など風邪に似た呼吸器系の症状が現れます。長期的に続く咳が特徴です。致死率は低いですが伝染力が強く、未熟な子犬では死に至ることもあります。

8種混合

  • 犬ジステンバー
  • 犬アデノウィルス1型、2型
  • パラインフルエンザ
  • 犬パルボウィルス
  • 犬コロナウィルス

嘔吐と下痢を伴う腸炎で、成犬では感染してもほとんど症状を示さないのが特徴です。発症して数日で回復しますが、寄生虫症や他の感染症を合併すると重症化することもあります。

  • レプトスピラ2種

レプトスピラ菌に感染したネズミの尿で汚染された水や土に触れることで、感染します。

犬では発熱や筋肉痛、口腔粘膜の出血、血便などの症状が現れます。人にも感染する動物由来感染症の1つです。

特に西日本などレプトスピラ感染のリスクが高い地域では、ワクチン接種が推奨されています。

子犬の場合はワクチンプログラムがある

子犬は免疫力が低いため、ありとあらゆる病気にかかりやすい状態にあります。感染症に対して免疫をつけ、持続させるために、月齢に合わせたワクチンプログラムが推奨されています。

  • 1回目のワクチン 生後1~2か月
  • 2回目のワクチン 生後2~3か月
  • 3回目のワクチン 生後3~4か月

【重要】狂犬病ワクチンは生後91日以降、30日以内に接種しなければいけません

混合ワクチンと狂犬病ワクチンのタイミングは、獣医さんと相談して決めていきます。

ワクチンの費用はいくらかかる?

犬のワクチン 費用

混合ワクチンの費用は種類や病院によって異なります。ワクチンの種類が増えるほど料金は高くなりますが、だいたい1回につき3,500~1万円程度と考えてください。

年に1回接種することで、大切な愛犬を守れるのであれば、多少費用が掛かってもしっかりと受けさせてあげたいですね。

ワクチンは必ず打たないといけないの?

前述したように、狂犬病ワクチン以外のワクチン接種は飼い主さんの任意です。混合ワクチンを接種しなかったからといって、罰則や罰金があるわけではありません。

しかし感染症にかかる可能性がある以上、万が一に備えておくことはとても大切です。

混合ワクチンの場合、年に1回の接種が推奨されています。毎年でなくとも、抗体価検査(ワクチンがどのくらい残っているかを調べる検査)をしながら必要なワクチンを接種する方法もあります。

愛犬の健康を守れるのは飼い主さんだけだということを肝に銘じてください。

ワクチン接種で気を付けること

ワクチン接種で気を付けること

多くの動物病院がワクチン接種を推奨していますが、犬によってはワクチン接種ができない子もいます。

ワクチン接種によってアレルギーを起こしたり、元々重い病気を患っていたり、シニア犬の場合は副作用が現れることがあるからです。

実際に、我が家の愛犬みらん(ミニチュアダックスフンド/♀)も7歳のときに、混合ワクチンを接種したあと、顔がむくみ、体中に発疹のようなものが出ました。(それまでは毎年問題はなかった)アレルギー反応だったようです。

なので今は、獣医さんの診断の元、毎年ではなく抗体価検査をしながら必要なときに接種するようにしています。

義務づけられている狂犬病ワクチンでも同じです。犬の体調を考慮し、ワクチン接種が困難とされる犬に関しては、獣医さんの判断で「狂犬病予防注射猶予証明書」を発行してもらうことができます。

ワクチン接種をしていないと…

任意のワクチン接種とはいえ、複数の犬が触れ合うような場所では、利用条件の中にワクチン接種をしていることを求める施設が増えてきました。

ドッグランやペットホテルを利用する際、ワクチン接種証明書の提示をお願いされることもあるでしょう。

犬が何かしらの理由でワクチン接種ができない場合、動物病院から発行される証明書を提示すれば利用できることもあります。

ワクチンは未接種だけど施設を利用したい時には、事前に施設へ問い合わせてみましょう。

ワクチン接種を受ける前に

ワクチン接種を受けるのは午前中がおすすめです。

ワクチン接種後、犬にアレルギー症状や体調不良などを起こした場合、すぐ動物病院を受診できるようにするためです。

可能であれば接種後30分は病院内に留まって様子を見ていてください。

まとめ

愛犬をウイルスから守る

犬は人間と同様、病気にかかります。フィラリア予防やダニ・ノミ予防に加え、ワクチン接種も毎年行うとなると、それなりに費用もかかってしまうでしょう。

「うちの子は室内飼いだし、ほとんど外に出さないから大丈夫」と考える人もいるかもしれません。しかし飼い主さん自身が外からウィルスを持ち込んでしまう可能性も十分に考えられます。

また、「これまでワクチンを打っていないけど、特に大きな病気をしたことない」と思っていても、ウィルスは突然やってくるかも知れません。特にシニアになればなるほど、免疫力が低下してくるので注意が必要です。

愛犬の健康を守るために必要な費用は惜しまず、飼い主さんとしてできることをしっかり実践していきましょう。

ではでは、これからも愛犬と共に健康で幸せなわんライフをお過ごし下さい!

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