犬の皮膚炎で最も多い【マラセチア皮膚炎】を徹底解説!
2018/02/18
犬の体を撫でたり、ブラッシングをしたりしている最中、ふと皮膚の異変に気づくことがあります。
脱毛や赤いポツポツ、フケなど、普段とは違う皮膚の状態が見られたら、皮膚炎にかかっているかもしれません。
そこでこの記事では「犬の皮膚炎」についてご紹介します。
犬の皮膚炎にはどんな種類があるのか、そしてその中で最もかかりやすいと言われているマラセチア皮膚炎とは一体何なのか・・・などなど、詳しく説明していますので、愛犬の皮膚を健康に保ちたい、今少し皮膚が気になっているという方はぜひご一読ください!
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Contents
犬の皮膚炎にはどんな種類があるの?
犬の皮膚炎といっても症状や原因はさまざまです。
フケはあるか、炎症はあるか、できものがあるか・・・などなど、まずは皮膚がどのような状態になっているかを確認してみましょう。
よく見られる皮膚炎としては、
- アレルギーによる皮膚炎
- 外部寄生虫による皮膚炎
- 細菌や真菌による皮膚炎
があります。
アレルギーによる皮膚炎
特定のアレルゲンに対して反応して起こる皮膚炎をアレルギー性皮膚炎と呼びます。
肉類や卵といった食べ物がアレルゲンとなって発症する「食餌性」のもの、ハウスダスト、花粉、ダニなどを吸引することで起こる「アトピー性」、特定の物質がアレルゲンとなり、それらと接触することで起こる「接触性」に分けられます。
その中で発症率が高いのはアトピー性皮膚炎で、顔面や四肢、腹部などに強い痒みや炎症を起こします。
予防や治療にはアレルゲンの除去が重要ですので、アレルゲンを特定するために動物病院で血液検査を受けることをおすすめします。
外部寄生虫による皮膚炎
ノミやダニ、シラミといった外部寄生虫が原因で皮膚炎を引き起こします。
ノミに噛まれることで起こるアレルギー性皮膚炎は、夏から秋にかけて多く見られ、腰や背中、尻尾に多く発症し、強い痒みが生じます。
犬はしきりに体を痒がるため、皮膚に傷や脱毛がみられるようになり、そこへ細菌感染が加わると皮膚の状態は悪化します。
これらの外部寄生虫は定期的に駆虫薬を滴下することで予防や治療ができます。
細菌や真菌による皮膚炎
自然界にはさまざまな菌が生息していますが、それらの菌が外傷や免疫力の低下などによって皮膚病を起こします。
黄色ブドウ球菌などの細菌が感染することで起こる「膿皮症(のうひしょう)」や、真菌が原因となる「皮膚真菌症」、マラセチア菌に起因する「マラセチア皮膚炎」などがあります。
それぞれ痒みや発赤、脱毛などの皮膚トラブルを起こします。
そして、これらの皮膚炎の中で多発しやすいのがマラセチア皮膚炎です。
今回はこのマラセチア皮膚炎について具体的に説明していきたいと思います!
マラセチア皮膚炎とは
マラセチアは酵母様真菌(こうぼようしんきん)で、いわゆるカビの一種です。このマラセチアは元々皮膚や外耳道に存在しており、皮膚の脂質を栄養にしています。
このマラセチアが何らかの原因で異常に増殖すると、皮膚炎を引き起こします。
主に皮脂の溜まりやすい外耳道や、足、脇の下、尻尾、肛門周りに多く見られ、酸っぱくて脂っぽい独特の臭いと、皮膚がべたつくのが特徴です。そのため、マラセチア皮膚炎は「脂漏症(しろうしょう)」とも呼ばれています。
マラセチア皮膚炎になりやすい犬は脂漏症体質が多く、フレンチブルドッグ、ダックスフンド、プードル、キャバリアなどの犬種に多く見られます。
マラセチアは放置するとどんどん増殖し続け、皮膚を悪化させていきますので、早めの処置が大切です。
実は我が家のみらん(ミニチュアダックスフンド/♀)も7歳の頃に、このマラセチア皮膚炎を発症しました。当時の様子や対処したことなども踏まえながら、症状・原因・治療についてそれぞれ説明していきたいと思います。
マラセチアの症状
マラセチアが増殖してしまうと、下記のような症状が現れます。
皮膚炎
脇の下や、内股、肛門周囲などに、強い痒みや発赤、色素沈着、皮膚のべたつき、脱毛や脂漏臭と呼ばれる臭いが症状として現れます。
また、バターのようなべたべたした垢や細かいフケが見られ、赤く腫れることもあります。
外耳炎
外耳炎はダックスのような垂れ耳や脂漏体質の犬種に多い耳の疾患です。
マラセチアが原因で外耳炎が起こすと、湿った茶褐色の耳垢がみられ、強い痒みと悪臭がするようになります。犬は耳をしきりに痒がったり、首を振ったりするようになり、痛みのために飼い主から触られることを嫌がり、攻撃的になることもあります。
予防は定期的に耳掃除を行って、耳の中を清潔に保っておくことが一番ですが、間違った耳掃除は皮膚炎を悪化させる要因になるため、耳の中を傷つけないよう優しく丁寧に行います。
我が家のみらんもマラセチアが原因で外耳炎になりました。最初は気づかなかったのですが、まさに上記のようにしきりに耳を掻いたり、首をブルブルさせたり、床にこすりつけたりしていたので、何かな?と思い、耳の中を見てみると、内側は真っ赤でベタベタとした膿のようなものがありました。また掻きすぎが原因で血も出ていました。
すぐに掛かり付けの獣医さんに見てもらった結果、外耳炎と診断され、その場で耳の中を洗浄することになりました。専用の洗浄液を処方され、簡易的な洗浄は毎日家で、がっつりとした洗浄は週に1回病院に通った記憶があります。
また自分で掻かないように、1ヶ月ほどはエリザベスカラーでの生活を余儀なくされました。当時の写真です。
とにかくみらんにとっても私にとってもつらく大変な1ヶ月間でした。。。
マラセチア皮膚炎の原因
マラセチア皮膚炎を起こす原因は、マラセチアの異常繁殖にあります。健康な犬でも常在菌として存在しているマラセチアですが、内分泌疾患によって免疫力が低下したり代謝が落ちることで、増殖することがあります。
また、高温多湿の環境でも増殖しやすいため、暖かい季節に多発する傾向にあります。
治療方法
マラセチア皮膚炎は脂漏症と呼ばれる通り、元々脂っぽい皮膚を持つ犬に多く見られる病気です。
マラセチアが増殖する原因となった元の病気を治療することが最善ですが、並行して飲み薬や殺菌作用のある塗り薬、薬用シャンプーなどによる治療を行います。
皮膚病を改善する目的で用いる薬用シャンプーには、主に4つの効能にわけられます。
- 抗菌性・・・細菌やマラセチアの殺菌、および増殖を抑える
- 角質溶解性・・・脂漏肌に使用することで、フケや皮脂を減らす
- 抗菌性・・・細菌やマラセチア保湿…乾燥肌を保湿する
- 止痒(しよう)性・・・痒みを減らす
この中でマラセチア皮膚炎の治療にぴったりなのが、抗菌性の薬用シャンプー『マラセブ』です。
マラセチア皮膚炎の治療に効果的とされるマラセブシャンプーは、増えすぎたマラセチア菌を減らし、余分な皮脂を取り除く効果があります。
動物病院やペットサロンでの取り扱いも多いマラセブシャンプーですが、自宅のスキンケアとしても利用できます。
我が家んみらんもマラセチア皮膚炎にかかったとき、病院からこのマラセブシャンプーを渡されました。
何度か使っているうちに、これまでの掻きグセが収まり、胸やお腹、脇の下など赤くただれていたところが、だんだんなくなり、今ではほとんど症状が見られなくなりました!
今でも高温多湿になる時期(だいたい6月〜9月にかけて)は月に1回程度、マラセブシャンプーを使っています!
マラセブシャンプーの使い方
いくら殺菌効果があるシャンプーでも、誤った使い方をすると皮膚の状態を悪化させてしまうこともあります。自宅でケアをする場合には、適正な方法で行うことが大切です。
- ブラッシングで被毛のもつれや毛玉を取り除く
- お尻から顔までぬるま湯をかけ、しっかり全身を濡らして汚れを浮かせる
- マラセブシャンプーの効果が必要な個所から洗い始め、その後に全身を洗う(ポイントは全身に刷り込むように泡立てること)
爪を立てて強く洗うと皮膚を傷めてしまうため、指の腹で優しくマッサージするように洗う - 10分程度時間を置き、シャンプー剤を浸透させる
- ぬるま湯でシャンプー剤を洗い流す
- タオルドライをした後に、ドライヤーでしっかり乾かす
シャンプー剤は残さず、きっちり洗い流しましょう。
皮膚が湿った状態だと細菌が繁殖しやすくなり、悪臭や皮膚炎の原因につながるため、十分に乾かしてください。
また、シャンプー剤が目や口に入らないよう注意が必要です。
マラセブシャンプーの注意点
マラセチア皮膚炎に効果が高いマラセブシャンプーですが、余分な皮脂を取り除くため、皮膚が乾燥してしまう場合があります。その時は必要に応じて保湿系のコンディショナーを使い、皮膚の状態を整えてあげましょう。
また、早く皮膚病を治したいからといって、1日に何度もシャンプーを行うのは皮膚によってよくありません。少なくとも3日以上は間隔をあけて週2回投与します。
マラセブシャンプーなどの薬用シャンプーは、用法用量を守って正しく使うことでより効能を発揮します。ただし2週間使っても症状の改善が見られない場合は掛かり付けの獣医さんに相談しましょう。
最後に
犬は猫と比べて、皮膚トラブルが多い動物です。
初めは軽い炎症でも、掻き壊して悪化してしまった…ということも有り得ますので、早いうちから皮膚の異常に気づくことが重要です。
グルーミングやスキンシップの際に、犬の被毛をかきわけて皮膚の状態をチェックし、常に健康な被毛と皮膚を保っていけるよう努めましょう。
特にダックスのように、耳が垂れているわんちゃんは頻繁に耳の中をチェックするようにしましょう。
それでは、これからも愛犬とともに素敵な『わんライフ』をお過ごし下さい!